子育てコラム
政治家や芸能人の記事の炎上が自分に起こるとは思いませんでした。
ファンファン福岡は西日本新聞のウエブ版。私はこちらでコラムを書かせてもらっています。
地元の女性たちと魅力あふれる福岡の街と人をご紹介。 活躍する女性たちによるコラムや、おすすめグルメ、イベント情報などを随時更新。
こちらで私が書いた記事の中で、今でももっとも読まれているのが
それは、この記事高1娘に100万を投げた話です。
のちに大きく新聞に載り、教育委員会で回覧板で回ったりしたと聞きました。
またキュレーションサイトに広がり、たくさんの方にシェアされ、同時に炎上。
批判は大きく2種類に。
・大金渡して、娘をダメにする金持ちダメな親
・こんな金額で足りない、娘を虐待ダメな親
と、全く反対のことを言われています
私への批判は流せるのですが、娘のことのは落ち込んだこともあります
・お金が足りずにエンコーでもしてる?
・高校でバイトOKだなんて、ばかな学校だったんだ
弊社スタッフが教えてくれました。
「瀬戸内寂聴さんが言ってましたよ。美人秘書さんが本を出したことで、炎上したらしいのですが、炎上はうまくいってる人だから言われるの
そうじゃない人のだと話題にもならないもの、そう思えばいいらしいですよ」
なるほど! いいことを聞いた!! ありがとう。娘は今、元気で、うまくいってるもの…
そう思った矢先、フェイスブックが過去のこの日にしたことの表示が出てきて
2014年の今日5月7日にこのコラムをアップしたと、懐かしくなり覗きました。
下の写真は大学生の最後の仕送りを、手渡しで持っていったところです
「こ、これで仕送りは最後です」と渡しました。
では久々に、思い出してみます
この話は、娘が高校入学し、初めて携帯電話を持って、その初めての請求書が届いた、ちょうど1年生の5月初めにさかのぼります。ルールを互いに決め買ったはずでした。しかし、その携帯料金は、
〇親から見ると、これは高すぎる!
〇娘に言わせると、みんなはもっと高い!
互いの解釈の目盛も論点も違います。このままでは、血をみる親子けんか勃発。ならば…
私は娘に声をかけました。
「はいここで、質問TIMEです。将来は当然一人暮らし憧れているよね。」
「あたりまえやん!」「では一人暮らし生活を考えてみよう~。どんな生活がしたい?部屋とかは?」
「私は3つぐらい部屋で、仕事したら車もほしいな、洋服はそんないいとして、旅行も…」
夢いっぱいに語る娘を私は見ながら、内心、住む部屋3つという時点で、いくらかかるのかわかってないと思いつつも、できるだけ顔には、出さないで、
「よし、いくらぐらいかかるか一つずつ考えていこう!」
と、家賃や電気代などを項目ごとに数字を一緒に入れていくうちに(さすがに車は諦めたものの)その総額は、月に35万円ほどになりました。
「35万か~、初任給てさ、いくらだろう?」
「そうねえ、一般的には〇〇万ぐらいかな」
「え?そうなん…………」無言になる娘。
その様子を見ながら、私はもう少し話をすすめました。
「ここで、未来から今に戻します。高校生活3年間に必要なお金を考えましょう~!」
「あ、それなら、まだわかるよ!」と言うので、二人で考えていきました。
「定期が西新まで、半年で7万5千。テキストや教材代がこの前このくらいかかって…」
「修学旅行とか特別にかかりそうなのは外して考えてみていいから…。」
「お弁当じゃなく、たまにはパンも買いたいから…。じゃあ週にこのくらいの頻度で…」
そして、でてきた合計金額は<104万>
う…。結構、学生生活もお金がかかるんだ…
あ、ならばこの話もできると、さらに話を続けました。
「じゃあ、2択から選んで。一つはこのお金を一括でもらい、3年間を自分で計画して使っていく。もう一つは、今まで通りのプレゼン制。さあ、どっちがいい?」
※解説 太刀山美樹風プレゼン制とは、2000円以上のものは、使用目的とそれを買う事で生活がどう変わるか、いくつかの比較検討した結果をプレゼンして、母を納得させると買えるというもの。
そう聞くと、悩むことなく瞬時に
「一括で!」という娘。
その瞬間、また互いにちょっとムカッとしたんでしょうね。似たもの親子の娘と私。
「じゃあ、どうぞ!」と、帯封のついた新札の100万を娘に私は投げました。
すると、怖気づくかと思ったら、「あ、はい」とそのまま持っていく娘。
(え!?持ってくの?)心の声が響きます
※解説 この100万円は、家のローンの繰り上げ返済のため、コツコツ貯めたものを卸してきたばかりのものです。
私のなけなしの100万円。即決で持って行っちゃった、あの娘。笑
翌日落ち着いて、もう一度話を聞きました。
「どうしたい?挑戦してみる?ただね、我が家は余裕がある家庭ではないの。もしあなたが、お金が珍しくて全部使っちゃったとなっても、残念!うちにお金は、もうないからね…」
その私の言葉に娘は、
「やる。大学は外に出ると思っている。通帳も作って、自分で管理する練習もしたいから」
そう話す目付きと、通帳・自分で管理・未来の練習のキーワードを聞き、私は娘にかけてみようと思い、まかせることにしました。
きっと、チャレンジすると言うだろうと思っていました。
そして、その時の私は知っていたのです。
銀行の通帳を未成年者がすぐつくるのは難しい事を…
・・・まもなく、鼻息荒く学校からかえってくる娘。
「ちょっと~信じられん!?土日休みなのは知っていたよ。でもさあ、学校終わって走っていったけど、銀行の人ってさ、午後3時までしか働かんってさ。もう閉まっていたよ!仕事終わるの、はやくない?!」
「いやいや銀行ってね、そのあとの作業が大変なのよ。窓口閉めてからが作業がこうこう・・・」
「へえ〜〜そうなん!?でもさぁ、なかなか行けないやん。」
しばらくするとまた私に訴えてきます。またもや鼻息あらい娘。
「もう〜身分証明書がいるって!学生証忘れた!!」
あるときは、
「未成年だから口座作れんって!保険証いるって!!」
またしばらくして
「今度は同居の証明書みたいなのいるって!!免許書とかパスポートあるならすぐできたとか言われても!!も~~~ないやん。銀行の方もさあ、こういう時、いるものチェック表みたいなの用意してあればいいと思わん!?っていうか、あ~~もう~~私も最初に何がいるか、全部教えてって聞けばよかった。あ~~!!」
このような会話を数回、私にブツブツ繰り返し、ようやく娘の通帳ができました。
「やった〜!見て!自分の名前の口座を、自分でつくった!!きゃ~うれしい!」
これらを私はあったかい瞳と、口角をあげた微笑みで、菩薩さまのような娘をそっと見守っていました。
・・・なんて言ってみたいところですが、上がっていたのは口角ではなく、頬のひきつりかも(笑)なにせ100万円を娘に一任した私は、夫には怒られてました。「大金なんか持った事がない女子高生だぞ!通帳ができる前に、えへっ、あのね~。あたし使ってなくなっちゃったなんて言われたら、どうするんや」と。
が、私は、初めに娘に、きちんと2点確認をしてGOしています。【前編】
①信じてる。
きっと大丈夫だろう。私には根拠のない自信がありました。
額が大きいからこそ、責任もあり、大切にどうにかしていくはず。どうしていくのか、何を学ぶのか、この3年間がワクワク楽しみでした。
そもそも、今更グチグチ言っても、最初に娘に話を持ち掛けたのは親の私です。
「してしまったもんは、しょんなかろうもん」(これは私の父の口癖でした)
これが失敗しても、娘はもちろん、判断した私も何か学ぶはず。
すでに通帳を作った時点で、もう3つも学んでいます。
①通帳を、ひとつをつくるにもルールがある。
②身分証明書という言葉を覚えた。
③したい事があるなら、必要なものをはじめに調べていくと効率的。
大人になるうえで、成長だなと思ったのです。
そして3年間。
この通帳をうまく使って、ちょうどで使い切った娘。
3年間100万円を1年ごとに、さらに1月ごとに分け、収支を考えてたそうです。欲しいものは予算とともに、天秤にかけよく比較検討する。先を見越してずっと必要なもの、今の自分に必要なものをよく考えていったようです。
きっと大丈夫だろう。私には根拠のない自信がありました。
実はそのひとつの話があります。
高校2年生の夏、制服のローファーの靴底がとれてしまい、娘の靴は歩くたびにパカパカと、剥がれていました。
「さすがに、その靴。年頃の女の子が恥ずかしくないの?」と私が聞くと
「う〜ん、先月の予算の時、欲しい服と靴を天秤にかけてみたら、服の方が上でさ。今月も比較したけど、リップの方が必要性が高くて、まあ靴はいいかとなったわけよ」
「そうなん。ならいいねw」
本人が決めた事なのでそのままにしておくと、夫の方の祖父母から、
「美樹さん、あなたは仕事が忙しくて気づいてないかもだけど、あの靴はかわいそうだよ」
と言われてしまいます。嫁の立場上、しかたなくもう一度聞いてみると、相手はさらに上を行く答え。
「いや~、この靴底が外れるって。意外と便利。夏場は、スースーして気持ちいいよ♪」
「ぷぷぷ。なんか困ることないと?」
「あ~、階段上るとき、段差にひっかかるかな。あと雨の日もここから染みるねぇ~w」
「ぷぷぷ。おもろい!!でも、その靴でいいんだ?」
「あたしさぁ~、卒業式の時、校門の前で、<100万円生活!この靴で3年間過ごしちゃいました>って写真を撮ろうと思っている!!これでレジェンド達成さ♪」
と、超楽しそうです。
おもろい娘やと、私もそのレジェンド達成を一緒に楽しみにしていました。だからその後、何度も祖父母に言われても、
「いいの、いいの~」と気にしない娘と、「本人が決めたので」と気にしない嫁でした。
月日が流れ
やがて3年生になり、春・夏・秋・冬と、卒業式がみえてきた2月。
いよいよ、いよいよ、レジェンドまで、あと少しの2月の朝の事です。
「ぎゃ〜〜〜〜!!」と玄関で大声が響き、その後バタバタ・・・と、剛速球娘が、私のところへ駆け寄ってきました。
「く、くつが〜〜〜〜!?」
「どうしたと?」
「じ、じ、じいちゃんが・・・」
娘の手には革靴があり、きれいにピカピカ光っています。
解説 じいちゃんのココロ(想像です)
私は見るたびにココロを痛めていました。この寒い冬に、年頃のかわいい私の孫がこんなボロボロ靴を履いて。「靴を買うお金がないなら、お小遣いあげよう」と言っても、「それはいい。ほかのが欲しい」と孫には断られます。ならば嫁に「買ってやって」と言っても、笑って素通り。「本人が自己管理しているから私も任せているとい」なぞ嫁に言われても、この大学受験のさなかの時期です。大事な孫娘が、足から風邪でもひいたらとハラハラして、もう我慢できず、せめてとしてあげたのでした。
そうなんです。レジェンドなんんて知らないおじいちゃんは、
ずっとココロを痛めてて、2月の朝に
ボンドで靴底をくっつけてしまっていたのでした。
あと少しで、レジェンド達成という2月に!?
きっと娘としては、100万円をきちんと計画して使った、その勲章がこの靴で、卒業式をパカパカ迎えたかったのだと思います。
あと少しだったのに・・・
表情真っ暗で、がっかりしている娘に、私はおそるおそる聞きました
「あ、あの・・おじいちゃんには、なんて言ったと?」
「そりゃ~さぁ!はじめは絶句したけど。仕方ないし。あ、あ、ありがとうって」
その言葉は本当にうれしかったです。いい子に育ってくれたなあと。
「そうよね。じいちゃんは、孫の為を思ってしいてくれたものね。く~っと思っても、ちゃんとお礼が言えていたのが、大人になったなと思うよ」
その言葉に、娘は私をみて
「そ、そうかな。う、うん・・・。」
「じいちゃんの気持ちを受け止め、ありがとが言える事。欲しいものを比較して努力をしてきた事。がんばった事に変わりはない!母は、そんな娘を見ていて誇らしい。」
その言葉に、ニカ~っと笑って、娘は部屋に消えていきました。
そして翌日、
「あのさ、聞いて!この靴ね、中敷の皮がのびちゃっているのを、じいちゃんが無理にくっつけているから、靴の中で、ボコボコ小さい山脈になっていて、も~、歩くたびに足の裏が痛い。正直、前の方が歩きやすくてよかったぁ。あ!!し~~っ。当然、この事はじいちゃんに言ってないけどね」
これには、二人で爆笑しました。
かくして3月の卒業式。
入学式でしか拝見できぬ、伝説の孔子像を拝んだあの日から、3年経った日でした。(この孔子像を見るために、娘の高校は入学式に家族総出でこられるところも)
元パカパカ、例の靴を履き、校門の前で記念撮影!!
娘の通帳は、キレイさっぱり☆
娘の表情も、キレイさっぱり☆
その春、娘は進学で(この成績からの驚愕の奇跡!?ここもまた面白いエピソード満載でのちに書きますが)大学は東京に向かいます。
大学生活をしていくにあたり、高校での100万円生活は、本人の大きな自信となっていったようです。(周りの友達に比べると、我が家は額も厳しかったようですが)お金の使い方のノウハウとして役に立っていったとのこと。親としても、もう高校の時の実績があるので、特に心配することもなく通常の仕送りができました。
この春、社会人になった娘に「この時に、他にも我慢した事はある?」と聞いてみると、「さすがに3年になってからは、もう勉強しないとやばいとおもい、参考書以外はほぼ我慢した。今思うと、わたし偉いなww」とのこと。
この経験から私自身が学んだことは、急がず待つ。おもいきって一任する。そうすると、自然と本人の力がつくものだなと学びました。
孔子曰く
速やかならんを欲するなかれ、小利を見るなかれ。
速やかならんを欲すればすなわち達せず、小利を見ればすなわち大事成らず。
~意味~
早く成果を出そうとあせってはいけないし、目先の利益を追ってもいけない。
早く成果を出そうとあせっては物事を誤り、目先の利益を追っていてはついに大事を成すことは無い。
もっとも、この成果というのは、いまではないと思っています。娘が社会人として、やがて家庭を持ち発揮していってこその、大事を成すと言えると思っています。
親となり子育てを通じて学ばせてもら事はありがたいと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ちなみに・・・
高校生が通帳つくるときに持っていくといいもの
●現金 1,000円でOK
●印鑑 スタンプ印は不可
●本人確認書類 (学生証+保険証+公共料金の領収証)
インターネットでも申し込み可能ですが、できれば自分で足を運んで、その仕組みと手続き、ちと面倒くささも知ってほしいですよね。。。