
研究
古式泳法ってご存知ですか?
近代泳法、つまりクロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ以外の日本古来の泳ぎ方のことを「古式泳法」と言います。
単に泳ぐだけでなく、甲冑を身につけた状態で泳ぐ技術や、立ち泳ぎ、水中で身を守るための技術なども含まれていたと言われています。
この泳ぎ方が、私はクロールや平泳ぎより楽なんです。
では、どこで泳ぐのか?
私は近頃、また知らないある世界へ、自分から「池ポチャ」してみました。
つまり、飛び込んでみました。
それは仕事と関連性があるものの、今までの私にはなかった新しい世界です。
試してみないとわからない。
面白そうなこの池で、私は得意な「古式泳法」で泳いでみるつもりです。
どうせなら、楽しんじゃえ。
そう思っています。
この泳ぎ方が好きです。
水面の上では余裕の顔ですが、実は切羽詰まっている時に、この泳ぎ方をします。
力で押し切るのではなく、力を抜いて浮かぶ。
必死だけれど、呼吸を整えて、まわりを見ながら進む。
そんな古式泳法の感覚が、今の私には合っているのかもしれません
安房泳法会 古式泳法図解 より
体育の苦手な体育教員の私にとって、数えるほどしかない得意な運動種目が、古式泳法でした。
ただの運動好きレベルで、体育大学に入学してしまった私。
周りは、当たり前のように何でもできる人たちばかりでした。
一方の私は、ほとんどの実技の単位を落として再履修。
あるいは、先生方の情けでギリギリ単位をいただくような学生でした。
そんな私が、自力で少しずつ上がっていけた数少ない実技が、水泳、スケート、スキーでした。
とはいえ、水泳も得意だったわけではありません。
長い時間泳いだ経験などありませんでした。
それどころか、私は内陸の筑後で育ったため、海で泳いだこともほとんどありません。
そんな私にとって、遠泳実習はかなり大きな壁でした。
学生時代、教員免許を取るためには教育実習に行かなければなりませんでした。
教育実習に行くためには、遠泳実習に合格しなければならない。
遠泳実習に行くためには、まずプール実習に合格しなければならない。
そのプール実習では、両手を胸の前で親指を立てた「Yeah!」のようなポーズで、水面から手を出したまま5分間浮いていなければなりませんでした。
力でなんとかしようとすると、すぐに疲れます。
でも、力を抜いて、水に身体を預けると、少しずつ浮いていられる。
その時に、自分に合っていたのが古式泳法でした。
速く泳ぐのではなく、長く水の中にいる。
がんばって進むのではなく、余計な力を抜いて、呼吸を整える。
体育が苦手だった私にとって、古式泳法は「できない私にも合う泳ぎ方がある」と教えてくれた、大切な体験でした。
学生の時、海での遠泳実習で古式泳法を学びました。
プールと違って、海には波があります。
足がつかない場所で、長い時間、泳ぎ続けなければなりません。
数時間泳ぎ続けるには、力で押し切るより、力を抜いた泳ぎ方の方が合っていました。
平泳ぎより楽に泳げたのが、私の場合はなぜか古式泳法でした。
水に逆らわない。
呼吸を整える。
顔は水面の上に出して、まわりを見る。
必要以上にがんばらず、長く浮かぶ。
その感覚が、私にはとても合っていたのだと思います。
畑違いで入ってしまった体育大学。
そんな中でも、得意な種目を見つけられてラッキーでした。
畑違いで入ってしまったダンスのインストラクター養成講座。
そんな中でも、MIKI・ファニットを見つけられてラッキーでした。
知らない世界へのこの「池ポチャ」も、きっとまた何かにつながっていくんだろうなと思っています。
古式泳法は、私にとって単なる泳ぎ方ではありません。
速く進むことだけが正解ではない。
力を抜くことで、長く続けられることがある。
自分に合った方法を見つければ、苦手だと思っていたことにも入っていける。
そんなことを教えてくれた身体の体験です。
新しい世界に飛び込むとき、最初からクロールで全力疾走しなくてもいい。
まずは浮かんでみる。
息を整えてみる。
水の流れを感じてみる。
自分に合う泳ぎ方を探してみる。
そう考えると、古式泳法は、私にとって生き方や仕事の進め方にも似ている気がします。
体育が苦手だった体育教員の私が、古式泳法に助けられたように、子どもたちにも「自分に合う動き方」「自分に合う入り方」を見つけてほしいと思っています。
できる・できないだけで見てしまうと、子どもは自分の可能性を閉じてしまうことがあります。
でも、同じ運動でも、入り方を変えればできることがあります。
声のかけ方を変えれば、身体が動くことがあります。
目的を少し変えれば、楽しくなることがあります。
MIKI・ファニットでも、できる・できないだけで判断するのではなく、その子に合った身体の使い方や、楽しく参加できる入口を大切にしていきたいです。
知らない世界に飛び込むときも、子どもが新しい運動に挑戦するときも、きっと同じです。
無理に速く泳がなくていい。
まずは浮かんでみる。
息を整えてみる。
自分に合う泳ぎ方を探してみる。
私もまた、知らない池に「池ポチャ」しながら、得意な古式泳法で、ゆっくり泳いでみようと思います。
古式泳法は、現在では「日本泳法」とも呼ばれています。
公益財団法人日本水泳連盟では、日本泳法について、日本各地の海や川などの自然環境に合わせて生まれた泳ぎが、武芸十八般の一つである「水術」として体系化され、現在13の流派で継承されている日本固有の泳ぎであると紹介しています。
流派ごとの基本の泳ぎだけでなく、長距離を泳ぐための泳ぎ、身を守るための泳ぎ、水中での戦闘を想定した泳ぎ、泳力を示すための華やかな泳ぎなど、さまざまな泳ぎがあります。
また、日本水泳連盟の日本泳法委員会では、日本泳法大会の開催、研究会の開催、資格認定、各流派の保存・普及活動支援なども行われています。
つまり古式泳法は、単なる昔の泳ぎ方ではなく、今も受け継がれている日本の身体文化でもあります。
速さを競うだけではない泳ぎ。
水の中で身体を保ち、力を抜き、長く浮かぶための知恵。
そこに、私は今もとても惹かれています。
※この記事は以前公開した内容をもとに、現在の情報と指導経験をふまえて加筆・修正しました。

写真は、先日海で、友人の娘さん(中学生女子)から、相撲を挑まれ戦ってるところです
挑まれると、体育会系は、「はい」か「YES」 笑