
子育てコラム
最近、大谷翔平さんの第2子誕生の報道をきっかけに、SNSなどで「年子はかわいそうなのか」という話題が広がっているようです。
おめでたいニュースのはずなのに、外から「かわいそう」と言われてしまう。
でも私は、この言葉に少し立ち止まりたいなと思いました。
年子だからかわいそう。
ひとりっ子だからかわいそう。
年が離れているからかわいそう。
本当に、そうでしょうか。
子どもが何人か。
何歳差か。
いつ産むか、産まないか。
それは、外から簡単に決めつけられることではなく、その家庭の事情や覚悟、支え合いの中で選ばれていくものだと思うのです。
来年、私は60歳になります。
自分でもびっくりです。
今では孫も3人になり、子育てをしていた頃とは違う距離から、親子の姿を見ることも増えました。
だからこそ、今のママたちの悩みは、私たちの頃とは少し変わってきていると感じます。
以前は、教室のお母さんたちから、
「2人目は何歳あけたらいいですか?」
と聞かれることがよくありました。
でも今は、
「2人目を産むかどうか」
「仕事を続けながら育てられるのか」
「経済的に大丈夫なのか」
「自分の体力や心の余裕がもつのか」
そこから悩む方も増えているのではないでしょうか。
実際、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査では、2021年の夫婦の平均理想子ども数は2.25人、平均予定子ども数は2.01人でした。
理想と現実の間には、少し差があります。
また、厚生労働省の人口動態統計では、2024年の出生数は68万6061人、合計特殊出生率は1.15でした。
子どもを何人持つか。
2人目をどうするか。
それは、以前よりずっと現実的で切実なテーマになっているのだと思います。

画像説明:夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数の推移。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」図表7-1
私は、0歳からの芯の強い子を育てる運動スクール「MIKI・ファニット」の代表として、子どもたちや親子の運動指導に関わってきました。
この仕事を35年間する中で、本当に多くの親子と出会ってきました。
その中で、昔からよく聞かれた質問のひとつが、
「2人目は何歳あけたらいいですか?」
というものでした。
皆さんは、どうお考えですか?
ちなみに、私の最初の出産は娘でした。
出産した当日、娘を見ながら、姑さんの口から出た最初の言葉は、
「可愛かね〜。さあ、今日からは毎日魚を食べて体質改善せんといかんねえ……」
でした。
要は、「次は男の子をすぐに産んでね」という話だったようです。
「やめて〜! あたし、たった今、いま産んだとです! こんな可愛い娘を」
と思いっきり顔に出たはず。
(その時代でも、「男の子産んでくれ」はもうなかったはずだが、じいちゃんはマジだったと)
状況は違えども、あの頃の私も、家族の期待と、自分の身体や、自分の人生の間にいたのだと思います。
だからこそ今、2人目を産むかどうか、何歳差にするかで悩むママたちの気持ちも、とても自然なことだと感じます。
兄弟姉妹の年齢差については、よく「4歳差がいい」「2歳差がいい」など、いろいろな話を聞きます。
たとえば、4歳差にはこんなことが言われます。
上の子が少し聞き分けができるようになり、待てるようになる。
上の子が幼稚園に行くことで、赤ちゃんのお世話に少し余裕ができる。
一方で、子育てがまた一から始まるように感じることもあります。
幼稚園と小学校など、行事やPTAが長く続くこともあります。
仕事のブランク期間をどう考えるかもあります。
2歳差には、こんなことが言われます。
兄弟姉妹で一緒に遊ぶ時期が早く来る。
育児用品や生活リズムを続けて使いやすい。
子育てが一気に進む感覚がある。
一方で、上の子のヤキモチもあります。
とにかく忙しい時期が重なります。
育休や仕事復帰のタイミングも悩みます。
年齢差には、それぞれに良さも大変さもあります。
ヤキモチは、何歳離れていてもあるものです。
仕事、家庭、体調、夫婦の考え方、サポートの有無。
どれを取っても、メリットとデメリットがあります。
だから私は、年齢差そのものに「正解」はないと思っています。
先日、博多阪急の2歳ファニットクラスに、下のお子さんを連れて参加されたお母さんがいらっしゃいました。
レッスンが終わった後、最後に私のところへ来て、
「実は……」
と話をしてくださいました。
その夜、メッセージをいただきました。
ご本人の許可を得て、一部紹介します。
美樹先生、今日はありがとうございました。約3年ぶりに先生のクラスに参加してとても楽しかったです。
長男10ヶ月の時に第二子妊娠が分かり、早く2人目が欲しかったけど、いざ妊娠が分かると、こんなに早くお兄ちゃんにして可哀想かな……大丈夫なのかな……って不安でした。その悩みを唯一相談したのが美樹先生で、
「えー!なんで??可哀想って思ってたら本当に可哀想になっちゃうよ!年子、いいよ!!」
っていう言葉で悩みが吹っ飛びました。実際年子を育ててみると、ここ数年の記憶はあんまり無いぐらい大変だったけど……喧嘩しながらも常に一緒に遊んでいる2人を見てると、本当に年子で良かったと思うし、幸せです。
そして、美樹先生にお礼を言いたい!!とずっと思っていたので、今日お会い出来て良かったです。
この言葉を読んで、私も胸がいっぱいになりました。
「かわいそう」と思って育てると、「かわいそう」になってしまう。
もちろん、親がしんどい時はあります。
年子育児は本当に大変です。
きれいごとでは済まない日もあります。
でも、子どもを最初から「かわいそうな存在」と決めつけなくてもいい。
そんな私の言葉が、少しでもその方の不安を軽くするきっかけになっていたのなら、本当によかったと思いました。
そのお母さんは、今では4歳、2歳、0歳の3人を育てるママになっていました。
この日は、下の2人のお子さんを連れてレッスンに参加されていました。
2歳児クラスなので、下の赤ちゃんは抱っこの中。
お母さんは、
「ねえね、カッコいいね〜」
と、2歳のお子さんの気持ちを上手にくみながら声をかけていました。
さらに、一緒に受講している別の2歳のお子さんにも、
「にいに、赤ちゃんが見てるよ」
と声をかけてくださったのです。
すると、その子も初めて会う赤ちゃんに向かって、
「にいに、がんばるね」
と、とても微笑ましい姿を見せてくれました。
赤ちゃんがいることで、上の子が我慢するだけではありません。
上の子が誇らしくなる場面もあります。
小さな子に見られていることで、少し背筋が伸びることもあります。
その姿を見て、年子やきょうだい育児の中には、大変さと同時に、育ち合う力もあるのだと改めて感じました。
冒頭で、出産直後に「早く男の子を」というプレッシャーをかけられた話をしましたが、私はその後、年子で息子を出産しました。
夫は研究職で夜中の実験などもあり、いわゆるワンオペ育児。
私も、子どもたちが生まれてからの5年ほどは、社会的な記憶が抜けています。
ニュースもわからない。
流行りの歌も映画もドラマもわからない。
毎日が、ただただ目の前の育児でいっぱいでした。
首の座っていない下の子を、短時間だけ洗濯機の上でバスタオルに包んで待たせたこともあります。
上の子が、自分の食べていたパンを下の子の口に突っ込んでいたこともあります。
今思えば、嵐のような日々でした。
でも、オムツ外しは一緒に進んだり、きょうだいで遊ぶようになると少し楽になったりもしました。
弟は、姉のおもちゃ状態でしたが……笑。
それでも私は、自分の経験として、年子も悪くなかったと思っています。
ただそんな私も、「年子かわいそう」と言われたことが実はありました。
今の時代は、「何歳差がいいか」だけではなく、「2人目を産むかどうか」そのものが大きな悩みになっていると思います。
産む選択。
産まない選択。
ひとりっ子として育てる選択。
年子で育てる選択。
少し年齢をあける選択。
どれも、その家庭にとって大切な選択です。
仕事や家庭の状況、体力、経済的なこと、保育のこと、家族のサポート、夫婦の考え方。
考えることは本当にたくさんあります。
だからこそ、外から簡単に、
「2人目は早い方がいい」
「年子はかわいそう」
「ひとりっ子はかわいそう」
「何歳差が一番いい」
とは言えないと思うのです。
それぞれの家庭に、それぞれの事情があります。
そして、どの選択にも、きっと迷いがあります。
兄弟姉妹の年齢差は、どのくらいがいいのか。
その答えは、ひとつではありません。
ゆっくり育てるのもよし。
続けて育てるのもよし。
ひとりっ子として、大切に育てるのもよし。
どの年齢差にも、それぞれの大変さがあります。
どの年齢差にも、それぞれの良さがあります。
でも、ひとつだけ思うのは、
「かわいそう」とは、最初から思ってほしくないなあ、ということです。
そのタイミングで出会えたこと。
その家族に生まれてきたこと。
そのきょうだいになったこと。
あるいは、その家族の形を選んだこと。
それ自体は、決してかわいそうなことではないと思うのです。
そして・・・
「かわいそう」と言うとき、人は無意識に、自分のものさしで相手の幸せを測ってしまっているのかもしれません。
でも、本人がどう感じているかを聞かないまま、外から“不幸”と決めてしまうことは、やさしさではなく決めつけになってしまいます。
博多阪急 親子クラスのお友達とお母さま
年子だから大変。
歳が離れているから大変。
ひとりっ子だから大変。
きょうだいが多いから大変。
どの形にも、きっとそれぞれの大変さがあります。
でも、子どもたちは、その中で関わり合いながら育っていきます。
上の子が小さな下の子を見て、少し誇らしくなる。
下の子が上の子を見て、まねをする。
けんかをしながら、距離感を覚える。
取り合いをしながら、相手の存在を知る。
そのひとつひとつが、子どもの育ちになっていくのだと思います。
MIKI・ファニットでも、子どもたちがただ身体を動かすだけでなく、人と関わり、自分を知り、少しずつ芯を育てていく場を大切にしています。
また次のレッスンが楽しみです。
どんな出会いがあるのかな。
古庄も担当する博多阪急レッスンでは、木曜日・土日に、ベビーと1・2歳の親子コースを開催しています。
九大学研都市、姪浜、大橋でも定期クラスを開催中です。
※この記事は以前公開した内容をもとに、現在の指導経験をふまえて加筆・修正しました。
