
ほか
国際線へ向かうバスの中。旅のスイッチを入れる前に、まずスーツケースがスイッチ切れました。
カギが壊れて、うんともすんとも言わない。
しかも今回のリモア、実は前にも台湾で鍵トラブルを起こしていて、あの時は台北で専門店に駆け込んだ“前科持ち”なんです。
「久しぶりに使うし…いけるよね?」と差し込んだ瞬間、はい終了。ダイヤルにしても動かない。旅の序盤で、いきなり詰みかけました。
国際線には早めに到着。
国内線側の鍵屋さんに戻ろうかと思ったけれど、朝でまだ開いてない。しかも同行の副市長たちもこれから到着。バタバタ一人で離脱…もできない。
買い直す?と思っても、免税店のカバン屋さんは手続きの後のエリアにありそうで、そこへ行ったら今度は荷物を預けられない問題が出てくる。
悩みながらも、とにかくチェックインだけ先に済ませて、心の中でこうつぶやきました。
「…タイに着いてからスーツケース買うしかないか」
でもそれ、冷静に考えるとほぼ不可能。
今回は視察の旅。団体行動で勝手に動けない。しかも行先はバンコクじゃなく、さらに南下した街。現地調達なんて難易度MAXです。
そんな私の顔が、たぶん“途方に暮れてる選手権・優勝”みたいになっていたのでしょう。
事情をタイ航空のお姉さんに話したら、さらっと一言。
「(国際線の)あそこにカバン屋さん、ありますよ」
……神さま、そこで降りてくるの!?
空港って、たまに現実の難易度を下げてくれるチートアイテム落ちてますよね。
そしてこのスーツケース、実は中身もパンパン。
デモ用のチアのポンポンが、ぎゅっと潰しても半分くらい占領している。
一番大きいスーツケースは去年のイギリス遠征で車輪が割れて、年季ものだったので処分済み。だから今回はこの“中サイズ一択”で来ていたのでした。そりゃ詰む。
急いでお店へ走ると、前からいいなと思っていた“ワンサイズ上”が、まさかの割引価格で並んでいる。
もう、悩む時間はゼロ。即決。
店員さんにカッターで古いスーツケースを開けてもらって、荷物を入れ替え。動きはスムーズ、容量には余裕。なんなら気持ちにも余裕。
最後に、前のスーツケースに小さくお礼を言いました。
「今までありがとう。最後に最高のバトン渡してくれたね」
トラブルって、できれば無い方がいい。
でも、たまに“必要な変化”を一瞬で連れてくることがあります。
今回はまさにそれ。壊れた鍵が、視察のスタートを整えてくれた。
かくして——
スーツケースの鍵に振り回されながらも(いや、振り回され“かけ”ながらも)、私のタイ視察が始まりました。
