
チアLife プログラム
― トラブルも笑顔に変えるチームの力 ―
ある終末期医療の専門家が、こんな言葉を残しています。
「人は“うまくいかなかったこと”ではなく、“やらなかったこと”を後悔する。」

大津秀一氏の『死ぬときに後悔すること25』、小澤竹俊氏の『死ぬとき幸福な人に共通する7つのこと』。
どちらの本にも共通して書かれているのは、“最期まで前を向く人”の姿でした。
それは特別な才能ではなく、どんな状況も楽しむ力、そして人を応援し、人から応援される関係性だと私は感じています。
「やばい」と思ったとき、どう楽しむか。
それが、人生の後半を豊かにする鍵なのかもしれません。
私自身にも、忘れられない「やばい瞬間」があります。
NHK福岡のお昼の情報番組で体操コーナーを担当していたとき、
「ではミュージックスタート!」の掛け声のあと、音が流れないという生放送ならではのトラブルが。
スタッフが慌てる中、とっさに出たのは「今日は鼻歌でいきましょう〜!」の一言。
その“鼻歌体操”が思いがけず好評で、「生に強い」と言われ、
10年間のレギュラー担当へとつながりました。
そんなふうに、“やばい時こそ楽しむ”姿勢が新しい扉を開くことがあります。
2025年9月。私が代表を務めるシニアチアチーム「グランチア」は、Japan Week 2025 の民間親善大使として、イギリス・マンチェスターの舞台に立ちました。
その直前の演目は――なんとOSK歌劇団による本格的レビュー!
(OSKは、宝塚歌劇と並ぶ歴史を持つ、日本を代表するレビュー劇団)
華やかな照明、完璧なフォーメーション、圧倒的な舞台。
「ひゃ〜、この後に出るの!?」と一瞬ひるみながらも、
「よし、私たちらしく楽しもう!」と笑い合いました。
そして始まったグランチアのステージ。
英語の小芝居を交えた20分間のパフォーマンスで、観客を巻き込み、
ラストはコール&レスポンスで会場が一体に!
終演後には「KAWAII!」「最高!」と声があふれ、一緒に写真を撮ってと恥ずかしそうな10歳の男の子を筆頭に気づけば写真撮影の列ができていました。
応援は、国境も世代も超える。
そのことを、あのマンチェスターの風の中で実感しました。

グランチアの中には、80代でダンスを始めたメンバーもいます。
「パリのエッフェル塔の前で踊る」という夢を叶えた方も。
人生の後半で夢を再び抱く――それは若さではなく、「生きる意志の証」です。
やって後悔するより、やらなかった後悔の方がずっと重い。
だからこそ、“体を動かす・心を動かす”ことが未来への最大の贈り物になります。
挑戦とは、誰かと比べることではなく、自分の中の「もう一度やってみよう」を信じること。
それが、人生をもう一度鮮やかに動かすスイッチになるのです。
10月19日福岡女子大学でのがんがん征圧チャリティイベント「リレー・フォー・ライフ福岡」。この日は体調不良者が続出、演目を直前まで調整。そして…
途中で全曲、音楽が止まるというまさかの機材トラブルが発生。
しかし誰も慌てず、笑顔のままこう言いました。
「音が止まったなら――歌えばいいじゃない🎤」
全員でアカペラに切り替えると、観客も一緒に歌い出し、会場は拍手と笑いの渦に。
トラブルさえも笑いに変える、それがグランチア流。

その姿を見て感じました。
ピンチを恐れず、楽しむ人のまわりには、自然と応援が集まる。
「楽しんでいる人のそばにいたい」――それが、人が人を動かす原動力なのです。 
応援とは、誰かを助けることではなく、互いの力を引き出し合う関係性のデザイン。
この哲学は、私が研究と実践を進めている「チアLife」にも息づいています。
「チアLife」は、介護する・される関係を超えて、
職員と入居者が“互いに応援し合う”プログラム。
応援と運動を通じて現場の空気が変わり、笑顔と定着率が上がっていく。
ウェルビーイングを職場で“共創”する取り組みです。 (現在、福岡市の共同事業に採択され、古庄は九州大学博士課程にて研究中)
グランチアが国境を越えて心をつないだように、
チアLifeは、日常の中で人と人の間に希望のリズムを生み出しています。
こんな大人の姿を、
「もう30だから」「もう40だから」と悩む子育て世代に、
そして、その先にいる子どもたちに見せたい。
人生、どうにかなる。
おもろい大人の生き様を見ててね――。
そんな背中を、これからも見せていきたいと思います。
トラブルを笑顔に変えるチームには、どんな困難も味方にする力があります。
それは、どんな現場でも、どんな年齢でも活かせる“応援の知恵”。
MIKI・ファニット、そして介護・企業・地域をつなぐ「チアLife」では、
この“応援のデザイン”を実践の形にして広げています。
──音が止まったなら、歌えばいい。
“やばい時こそ、どう楽しむか”から、未来は動き出します。
(株式会社MIKI・ファニット/代表 古庄美樹)
📘 介護・企業・地域での「チアLife」プログラム導入・講演に関するお問い合わせは、こちらまで。
大津秀一『死ぬときに後悔すること25』(致知出版社)
小澤竹俊『死ぬとき幸福な人に共通する7つのこと』(アスコム)