
ここから、 始まりました
オーロラを見に行こうと思ったのは、
突然ではありません。
いくつもの出来事と、
いくつもの言葉が、
静かに重なっていきました。
そしてある日。
「今しかない」
そう、腑に落ちたのです。
父の言葉
私の父は、
人生を自分で切り拓いてきた人でした。
若い頃は苦労が多く、
旅行なんて考える余裕もなかった。
それでも、果樹園が軌道に乗り、
農閑期になると、
少しずつ世界へ出るようになりました。
特にブラジル。
移民していた叔父に会いに、
いくつものルートで、何度も。
ようやく手に入れた「行く時間」を、
大切に使っていた人でした。
そんな父が、最期に病室で
ぽつりと言った言葉があります。
「行けなかったなあ、オーロラ」
そのときは、ただ聞いていました。
でもその言葉は、
ずっと、残りました。
ずっと、残り続けていました。
「50年先」という現実
九州大学で出会った、女性研究者。
社会人から大学院に進学した彼女の
キャリア相談に乗っていたとき、
何気なく聞いたのです。
「何を研究してるの?」
「オーロラです」
思わず、引き込まれました。
そして彼女は続けます。
「今年は当たり年なんです。
次にここまで見られるのは12年後。
同じレベルになるのは、もしかしたら50年先かもしれません」

50年後ではなく、“今”を選んだ
50年後。
その言葉を聞いたとき、
とても静かに思いました。
そのとき、私は――
この世にいないかもしれない。
「今やる」という選択
もう一つ、忘れられない言葉があります。
グランチアのサバイバーチームのメンバーが、
最期に残した言葉です。
「やりたいときに
やりたいことを
やれるだけやるのが大事」
また別のメンバーは、
こんな現実的なことも教えてくれました。
「80歳になって、重いスーツケースを引いて
遠くに行くのは大変になるよ」
「きつい場所は、今のうちに行ったほうがいい」
きれいな街は、後でも行ける。
でも、自然や極地は、
“今”だから行ける。
その言葉に、
妙に納得している自分がいました。
決断の瞬間
オーロラ、行こう。
そう決めてから、
行き先を考えました。
フィンランド。
行きたい場所が多すぎる。
アイスランド。
魅力的だけれど、日程が長くなる。
時間が、足りない。
どうしようかと思ったとき、
ふと思い出した話がありました。
夫が以前、
『犬と走る』の著者・本多有香さんに
インタビューをしたことがあり、
その中で
「カナダで犬ぞりのマッシャーになった日本人女性がいる」
という話を聞いていたのです。
その瞬間、
まったく別の記憶がよみがえりました。
子どもの頃、私は本気で思っていました。
犬に乗って、
小学校に行けたらいいのに、と。
答えはひとつだった
オーロラ。
そして、犬ぞり。
この2つを、
一緒に体験できる場所。
答えは、すぐに出ました。
カナダ・ホワイトホース。
そこしかない。
そう思いました。
こうして私は、
北極圏に近い町へ向かうことになります。
このときはまだ、
この旅が、
ただの「絶景を見る旅」では終わらないことを、
知る由もありませんでした。
次回へ
バンクーバーで出会った、
まさかの“グランチア的な夜”。
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