
教育トピックス

小学生の上体起こしは、腹筋の強さだけでなく、姿勢の取り方、足の固定、タイミング、身体の使い方への理解も関係します。
「できない=運動が苦手」と決めつけず、まずは身体の使い方を少しずつ覚えることが大切です。
芯のつよい子を育てる運動スクール MIKI・ファニット代表の古庄美樹です。
とある親子サークルのサイトに、保護者の方のお悩みが載っていました。
小学校1年生のお子さんが、体育の授業で体力測定に初めて取り組むことになり、その中に「上体起こし」があるとのこと。
家で練習してみるけれど、うまくできない。
どうしたらいいでしょうか、というご相談でした。
私も以前、同じようなことを聞かれた経験があります。
その答えのヒントになればと思い、気になるポイントをまとめてみました。
まず、できる・できないを見る前に、次のような様子がないかを見てみてください。
① 起き上がるときに、首から力が入っていないか
② 身体の反動だけで起き上がろうとしていないか
③ 身体が反っていないか
④ 背中がまっすぐ伸びたままになっていないか
このような様子があるときは、いきなり「もっと腹筋を使って」と言っても、子どもには伝わりにくいことがあります。
いきなり寝た状態から起き上がるのではなく、まずは身体を起こした状態から、ゆっくり倒れるところから始めてみます。
「起きる」よりも「倒れる」方が、身体の使い方をつかみやすい子もいます。
座布団を二つ折りにして腰の後ろに入れ、起き上がる角度を少し小さくしてみます。
まずは「できた」という気持ちを持つことが大切です。
最初から正しい形にこだわりすぎるより、少し補助を入れて、身体が起き上がる感覚を経験させてあげるとよいと思います。
「おへそを見る」「膝の間を見る」など、目線を決めてあげるのも一つの方法です。
子どもの運動指導では、目線を決めるだけで動きがうまくいくことがあります。
これは、人間の身体に備わっている原始反射の働きとも関係しています。たとえば、首を前に倒すと背中は丸まりやすくなります。
受け身の姿勢でも、後頭部を守るために「おへそを見る」と言いますよね。
ただし、子どもによっては、特に素直な子ほど「おへそを見る」ことに意識が向きすぎて、首だけで起き上がろうとすることもあります。
その場合は、「膝の間を見る」くらいの方が合うこともあります。
お子さんの様子をよく見ながら、声かけを変えてみてください。
できる子は、すぐにできます。
深く考えなくても、身体が自然に動きます。
でも、みんながそうとは限りません。
大人から聞いた言葉を、頭の中でイメージし、それを身体の動きに変えることは、子どもにとって意外と難しいものです。
すでに何度かトライして、「自分は苦手かも」と感じている子なら、なおさらです。
そんなときは、目的自体を少し変えてみてもよいと思います。
上体起こしを成功させることだけを目的にすると、子どもは緊張してしまうことがあります。
そんなときこそ、遊び感覚を取り入れるのがおすすめです。
たとえば、目的を「起き上がる」ではなく、「音を出す」に変えてみます。
起き上がったらタンバリンを叩く。
タッチする。
合図に合わせて動く。
自分の動きが何かにつながると、子どもは楽しみながら身体を使いやすくなります。
また、上体起こしそのものにこだわらず、違う姿勢で似た動きを試してみるのもよいと思います。
上体起こしは「腹筋運動」と思われがちですが、実際には太もも、下腹部、背中側、腰まわりなど、いろいろな力を使っています。
起き上がる動作には、身体の中心部、つまり体幹や腰まわりの力も関係します。
お尻に力を入れることで、起き上がる力を引き出しやすくなる子もいます。
意識しにくい場合は、最初は立ったままで、
「かたいお尻、ぎゅーーー」
などと声をかけ、お尻に手のひらをあてて、その部分に力を入れる感覚を覚えさせてみるのも一つです。
運動の伝え方には、いろいろな方法があります。
言葉でわかる子。
見本を見るとわかる子。
触れてもらうとわかる子。
遊びにすると動ける子。
「あ、わかった!」の瞬間は、一人ひとり違います。
早くできる子もいれば、ゆっくりできるようになる子もいます。
だからこそ、できないことを責めるより、身体がわかる入口を一緒に探してあげたいですね。
「朝、布団から起きられるでしょ。だから、きっとできるよん♪」
そんな声かけでも、子どもの気持ちは少し軽くなるかもしれません。
ちなみに私は、大学に進学する際、間違って(笑)体育大学に入学してしまいました。
実技の単位を次々に落とし、再履修の春には教授から前に出されて、
「運動のできない奴の見本」
と言われたこともあります。
そのあまりの恥ずかしさに、
「私が体育の先生になろう。だって、できない子の気持ちがわかるもん」
と思いました。
そこから、子どもの運動の会社をつくることになりました。
子どもたちが少しずつ成長していく姿を見ることは、私の人生の一番の楽しみです。
MIKI・ファニットでは、できる・できないだけで判断するのではなく、子どもが自分の身体に気づき、楽しく動ける入口づくりを大切にしています。
運動が苦手なお子さまも、まずは楽しく身体を動かす経験から始めてみてください。